自分の時間を持つことが介護への栄養剤

<<自分の時間を持つことが介護への栄養剤>>

疲れから体調を崩し気味ではあるものの、まだ病気とはいえない状態。介護している方々の中で、このような状態を続けている方がどのくらいたくさんいるのでしょうか?

介護にがんばりすぎは禁物です。でも、「目の前にはやらなければいけないことが山積みなんだから、自分ががんばるしかないではないか!」とばかりに 自分に鞭打って、介護をしていませんか?

母は介護を自分が与えていただいた仕事として常に前向きに捉えていましたので、精神的ストレスに苦しむ姿は見たことがありませんでしたが、肉体的にはやはり腰痛などを抱えてしまいました。

少しでも気持ちよく余裕を持って父に接してあげたい。本人にゆとりがなくなると、人にはやさしくできません。そのことを感知していた母は、自分が楽になることは介護される側にとっても気持ちのいいものだと確信していました。そして、自分が大変だと思う作業について、改善する方法を見つけ出そうという試行錯誤が始まったのです。

そのひとつが、排泄のチェックでした。朝6時から深夜2、3時まで1日6~7回、中腰になり、排泄の確認や必要ならばおもつや尿取りパットの交換を行う。だいだい2回に1回はいわゆる”不発”(排泄なし)だったといいます。父に不快な思いはさせたくないという思いで、彼女はできるだけ多く排泄チェックをしました。それでも、ちょっとの間に父が排泄し、尿がシーツにまで漏れてしまったということもありました。寝たきりの患者のいるベッドでのシーツやベットパッド交換と洗濯はとても大変な労働です。このような経験から、尿漏れの心配をなくすことに端を発し、尿取りパットのアイディアが彼女の中で生まれました。もともと、ミシン縫いが上手で手作りを趣味にしていた母は、素材やサイズに試行錯誤しながらも、ついに納得のいく尿取りパットを作り上げました。しーず工房の第1号商品「ポケットパンツ」の誕生です。

この尿取りパットのおかげで、排泄チェックは1日3回のみになりました。しかも、尿漏れの心配がなく、たとえ排泄があったとしてもその本人も尿漏れ時に起こる不快感がないため、介護する側の都合に合わせておむつやパットを交換できます。このメリットは、母へ時間の大きなゆとりをもたらしました。

このゆとりの時間を母は、介護のためにではなく、自分が介護をするために必要なエネルギーを充電するために使いました。手料理や趣味のバック作りに没頭したり、友人を家に招いての楽しいおしゃべりに家中明るい笑いがあふれていたこともありました。そんな母を見ていて、在宅介護における自分の時間を持つゆとりの大切さを痛感しました。

在宅介護であっても、工夫次第で自分の時間を持つことはいくらでもできます。そのために支援サービスや商品を使い自分が楽になることは、介護の手抜きをしているのとは違います。介護を長く楽しく継続していく最善の方法なのです。

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